「にんげんだもの」など平易だが心に響く言葉を独特な書で表現し、「書の詩人」と呼ばれる相田みつを(1924~91年)の生誕100年記念事業が7月13日~9月1日、生まれ故郷の栃木県足利市内で開かれる。市立美術館の記念展「相田みつを展―いのちを見つめることば―」で過去最多の118作品を展示する他、市民所蔵の作品展や関連グッズの販売、ツアーの催行などを展開する。
主催は市や足利商工会議所、市観光協会などで構成する実行委員会。21日の記者会見で、同市が概要を発表した。メインの記念展は、「めぐりあい」「しんじつ」などの代表作を中心に「相田みつを美術館株式会社」からの借用92点、市と市民所蔵26点を展示予定で、うち52点は市立美術館初公開。初日には長男で相田みつを美術館館長の一人さんによるオープニングトークがある。
また、史跡足利学校の遺蹟図書館では、同学校に「宋刊本 文選」(国宝)を寄付した戦国大名・北条家の家印「虎朱印」に刻まれた「祿壽應穩(ろくじゅおうおん)」の印影を基に相田が制作したろうけつ染め作品、相田が師と仰いだ曹洞宗の僧・武井哲応の遺歌集や書など約20点を展示。文選も7月21日までの期間限定で公開する。
足利商議所のギャラリー「カッサ」では、相田が市内の商店主らに支えられ、商品ロゴや包装紙のデザインなどを手掛けていた時代の作品、「足利のわかりやすい歴史館」では市民が所蔵する作品をそれぞれ展示する。
相田と関わりがあった商店などでもそれぞれがゆかりの品を公開し、期間中には市内全体で173点の相田作品が勢ぞろいする見通しだ。2002年の没後10年展の出品数は71点、12年の没後20年展は109点で、過去最大規模の展示となる。
展示に合わせ、市は「めぐりあい」など代表作を使ったうちわ計3万枚を作り、市内商店などで配布。東京駅発着、群馬県館林市発着のツアーを企画し、誘客を図る。全体事業費は約1100万円。
早川尚秀市長は記者会見で「癒やしや明日を生きる糧になるような心に響く作品ばかり。子供たちにもぜひ見てほしい」と話した。【太田穣】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。