歌舞伎俳優の市川團十郎(46)の長男、八代目・市川新之助(11)が歌舞伎の取材会としては初めて1人で臨み、10月に上演される初舞台について「新たなモノに挑戦したいと思った。これからも新之助として続いていくので頑張っていきたい」と力強く抱負を語った。
6日午後、東京・渋谷のホテルで行われたのは、大阪松竹座で10月に上演される「市川海老蔵改め十三代目・市川團十郎白猿襲名披露 八代目・市川新之助初舞台 十月 大歌舞伎」の合同取材会。
歌舞伎の取材会見としては父・團十郎の同席もなく、初めて単独で臨んだ新之助。冒頭の挨拶で「よろしくお願い致します」とお辞儀、20名以上集まった記者たちを前にひとりでも堂々とした立ち振る舞いを見せた。
初舞台で注目されるのは、歌舞伎の“登竜門”とも言われる演目「連獅子(れんじし)」。その内容から父・團十郎の「息子を突き落とす」親の厳しさについて実際にどうかと質問された新之助は、「父は怒らない性格で、崖から突き落とす…というような厳しい指導はないです」と明かした。
初舞台は大阪松竹座ということで大阪のイメージを聞かれた新之助は「大阪はすごく都会というイメージを持っています」と会場の笑いを誘うなど、その後の質疑応答でも、堂々とした受け答えを見せた新之助。
2022年11 月歌舞伎座を皮切りに二年にわたり各地で行われた襲名披露興行も、大阪松竹座での公演が締めくくり。昼の部は、二世市川團十郎により大坂で初演された「雷神不動北山櫻」を上演、また夜の部では、襲名披露演目として「口上」、そして「連獅子」を團十郎、新之助が親子で勤める。
◆その他の質疑応答◆
――2年間、どんな楽しさ、どんな大変さがあった?
特に「外郎売」を11月12月2月とたくさんやらせていただいて、すごく迷いを感じた次第でございます。歌舞伎十八番をこんなに(多く)やったことがなかったので貴重な経験で、大変と言うよりかは楽しかった。(どういったところが?)僕は台詞や立ち回りが好きで楽しかった。
――お父さんからアドバイスで印象に残っている点は?
僕が苦手な踊りや、台詞の細かいところを教えてもらったことです。
――連獅子を御自身でやりたいと思った理由は?
新たなモノに挑戦したいと思った。僕も連獅子が好きで、(映像で)お父さんの連獅子を見ていてすごく楽しかったので、そう思いました。
――台詞や立ち回りで特に好きなのは?
全部好きですが、「外郎売」早口言葉。今年1月の新作の立ち回りが楽しかった。
(どういったところが?)すごく動くのでテンションが上がります。
――歌舞伎十八番がある中で「連獅子」を選んだ理由は?
お父さんの連獅子をたくさん見えていたこともあって「いつかやってみたい」と思っていた。
――連獅子の稽古が始まってみてどこが難しいと思った?
自分としてはそもそも難しいというイメージを持っていました。実際にやってみるとお父さんと息を合わせるところなど、思っていたよりもさらに難しいと感じました。体力がないとできないとも感じました。
――大阪松竹座は初めて。大阪のイメージは?楽しみなところは?
最近だとお姉ちゃんの始球式についていった時に大阪に行きました。大阪はすごく都会というイメージを持っています。
茨城や神奈川、GINZA SIXなど立ったことのない劇場は緊張感もありますが、ワクワクします。新しい場所で演ずること自体は楽しみです。
――大阪で何を食べたい?
僕はそういうのあまり詳しくないんですけど、敢えて言えばお肉が好きなので焼き肉を食べたいです。
――新之助さんと呼ばれるのは慣れた?
僕の中ではそんな慣れていないです。新之助さんと呼ばれることより、プライベートで勸玄さんと呼ばれることの方が多いで、中途半端になっています(笑)
――襲名披露興行が始まってから2年間で変化を感じた部分は?
自分自身ではあまり分からないが、身長が伸びた。友だちに「勸玄、性格変わった」と言われたけど、自分自身ではよく分からないです。
――父の指導でよく言われることは?
よく言われるのは、音の取り方。まだ2週間くらいで「音の取り方」や「形」について言われます。
――自分で扮装した写真を見て
「連獅子やるんだなぁ」と思いました。
――連獅子の「崖から突き落として…」という親子関係が良く取り上げられますが、團十郎さんの厳しいところは?
父は怒らない性格で、崖から突き落とす…というような厳しい指導はありません。物理的な話ではなくて(笑い)歌舞伎の稽古の時は厳しく言われることはあります。
――1番怒られた思い出は?
いや、いや、大丈夫です。(やんちゃなことをしちゃった?)そんな感じです(笑)
――10月の公演が襲名披露の締めくくり。心境は?
襲名披露としては10月公演が最後となりますが、市川新之助としてはこれからも続いていくので、たくさん努力していきたい。
この2年間は短く感じました。いま小学6年生で次は中学生なので、始まった頃は小学4年生であっという間に感じた。巡業があると学校に行けないこととか大変なこともあったが、楽しかった。
――巡業で思い出に残っていることは?
GINZA SIXや熊本県、茨城県、神奈川県など僕がいままで立ったことのない場所に立てたこと。お姉ちゃんはどうか分からないですけど(笑)、僕はワクワクしてました。
――お客さまに楽しみにしてもらいたい点は?
まだ全部終わっていないので、見どころというよりは、全部精一杯やらせていただくので全部見ていただきたいです。いま、稽古が終わっている部分で言うと崖に落とされるところです。
――今後の演目で憧れているのは?
「助六」ですね。お父さんの歌舞伎の中で一番見てきたのは「助六」「暫」「勧進帳」で、見ててやりたいと思いました。
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