ある日突然、理由も分からず、自分の愛する子どもが目の前からいなくなったら。考えただけで胸が張り裂けそうな2時間だった。
主演を務めた石原さとみは第1子出産後の俳優復帰作。迫真の演技で、5歳の娘が失踪した母親を演じた。
失踪当時、アイドルのライブに行っていたことから、インターネット上で「育児放棄」と誹謗(ひぼう)中傷を受ける。日頃、子どもを優先していた母親がたった1日、自分のために時間を使っただけで向けられる社会の悪意。警察署でのある場面では、石原の体を張った演技に涙をこらえることができなかった。
SNS全盛で、誰もが「軽はずみな悪意」「軽はずみな正義感」で傷つけられるかもしれず、傷つける立場になるかもしれない。指先一つで人を殺せる時代。画面の先にいる「その人」は、心ある生身の人間なんだということを突きつけられるドキュメンタリーのような映画だった。(DX推進部・屋良朝輝)
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