永住許可取り消しも 改正案とは
出入国管理法などの改正案は、技能実習制度を廃止して、新たに育成就労制度を設け、外国人労働者を原則3年で専門の技能があると認められる「特定技能」の水準にまで育成するとしています。
受け入れる分野は働き手が不足している介護や建設、農業などが想定されていて、これまで原則認められていない別の企業などに移る転籍を一定の要件のもと同じ分野に限り認めます。
また、故意に納税などを怠った場合は、永住許可を取り消すことができるとする一方、取り消す際には生活状況などに十分配慮することなどが付則に加えられました。
小泉法相 ガイドライン作成する考え
28日から参議院法務委員会で審議が始まり立憲民主党の牧山ひろえ氏は「永住が認められる技能レベルは非常に高く、新制度になったからといって大幅に増えるというのは不要な考えだ。誤った前提にたった永住資格の取り消しは根拠を欠いている」とただしました。
これに対し小泉法務大臣は「永住者が増えても増えなくても不適切な行動があれば是正してもらう。一人一人の振る舞いについて在留管理の観点から適切に対応するための根拠となる法制度を認めてほしい」と述べました。
また、小泉大臣は「心配している人たちに理解してもらうため責任をもって対応する」と述べ、永住許可の取り消しに関するガイドラインを作成する考えを明らかにしました。
永住許可取り消しめぐり 不安の声も
今回の改正案には、永住許可を取り消す事由を追加することが盛り込まれています。
具体的には、税金や社会保険料の納付を故意に怠った場合や、在留カードを常時携帯するなどの義務に違反した場合、住居侵入や通貨偽造など刑法で拘禁刑を受けた場合に永住許可を取り消せるとしています。
導入の理由について出入国在留管理庁は「育成就労制度の導入により永住権を取得できる外国人が増えることが予想されている。こうした中、永住者の一部が公的義務を履行していないとの指摘があり、永住許可制度の適正化を行うものだ」としています。
一方、長年日本で暮らす外国籍の人などからは不安の声もあがっています。
横浜中華街で働く人など16の団体で構成する「横浜華僑総会」は、中国籍を持ち日本の永住資格をもつ人たちを主な会員としています。
今回の法案について規定の削除を求める陳情書を先週、岸田総理大臣や小泉法務大臣に送りました。
陳情書では、「過失の場合は在留資格を取り消さないと想定していたとしても、法律上は可能になる。永住者である在日中国人は日本で働き税金を納めていて、生活実態は日本国民と変わらない。急な病気や事故で納税ができなくなる可能性があるのも日本国民と同じで、永住資格の取り消しを法律上可能にすることは外国人の生きる権利を著しく踏みにじるものだ」などとしています。
「横浜華僑総会」の曽徳深 顧問は「外国人も日本の法律は守るべきだと思っている。違反をしたら今ある日本の法律で罰すればいいのに、どうして外国人だけ“2重に処罰する”必要があるのか。永住者は10年かけて一生懸命働いて、日本に根を下ろした人だ。民族が違ってもお互いに理解し、支え合う環境づくりをするべきなのに法案はそれに逆行するもので、すごく残念だ」と話しています。
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