自民党は29日、政治資金パーティー裏金事件を受けた衆院政治改革特別委員会の理事懇談会で、政治資金規正法改正案の修正案を提示した。政治家が自ら代表を務める政党支部に寄付し、税優遇を受けられる仕組みを見直すことを検討する規定などを盛り込んだ。公明党は修正案に賛成する見通しだが、野党との隔たりは依然として大きく、与野党協議は難航しそうだ。
税優遇問題では、菅家一郎元副復興相が2018~21年に安倍派から還流を受けた1289万円を原資に、自身が代表を務めていた党支部に寄付し、所得税の控除を受けたことが判明している。
自民の修正案では「自らが代表を務める選挙区支部に対する寄付への税制優遇措置の適用除外を検討」と明記した。
一方、パーティー券購入者の公開基準額については現行の「20万円超」から「10万円超」へ引き下げるとした原案を維持。公明が求めた「5万円超」への引き下げは採用しない代わりに、法施行後3年をめどに見直す規定を盛り込むことで争点の先送りを図った。
政党から議員個人に支出され、使途が公開されない政策活動費については、議員が支出した時期を「月単位」で収支報告書に記載する。自民の原案は「選挙関係費」「組織活動費」など大まかな支出項目の公開にとどめていたが、使途明細の公開を求める公明に配慮した。
ただ、支出時期を明記しても「選挙関係費 1億円」などの記載は認められるため、政治資金の透明化に向けた実効性は限定的とみられる。
また、所属議員が規正法違反などで起訴された場合に政党交付金を減額する案も盛り込んだ。国民民主党が主張してきた案で、28日の与野党修正協議では公明も明記を求めていた。修正案に盛り込むことで、国民民主など野党の取り込みを図る狙いがある。
一方、立憲民主党や日本維新の会、国民民主などが求めた企業・団体献金の禁止や政策活動費の廃止などは採用しなかった。
自公両党は当初、改正案の共同提出を目指して与党案に大枠で合意したものの、パーティー券購入者の公開基準額と政策活動費の使途公開の条文化で折り合わず、自民が17日に改正案を単独で提出していた。【川口峻、野間口陽、樋口淳也】
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