政府の規制改革推進会議は31日、一般ドライバーが有償で乗客を送迎する「ライドシェア」の全面解禁を認める法整備について意見を示した。2025年の通常国会への関連法案の提出も視野に入れるべきだと提起した。

河野太郎規制改革相は同日の記者会見で「少なくとも年内は検証をやる」と述べ、全面解禁の判断は25年以降になるとの見通しを提示した。

岸田文雄首相は会議で、4月に始まったタクシー会社の管理下で運行する限定版ライドシェアに関し「できるだけ早期に検証結果を評価してほしい」と要望した。

全面解禁へ「論点整理を踏まえ、法制度を含めて事業のあり方の議論を進めてほしい」と斉藤鉄夫国土交通相と河野氏に指示した。

ライドシェアを巡り政府内で全面解禁の是非で綱引きが続く。首相と河野氏、斉藤氏は30日に首相官邸で面会し、限定版ライドシェアの効果や改善策の検証と全面解禁につながる法整備の議論を並行で進めると確認した。

斉藤氏は30日に法整備にふれ「現時点では特定の期限を設けないことで意見が一致した」と話した。

河野氏は31日の記者会見で「次のステップが必要なときには移行できるように準備を進める」と説明した。規制改革推進会議の意見も25年の通常国会への法案提出も視野に、年末に向けて法制作業を直ちに開始すべきだと強調した。

現行制度の改善を優先する斉藤氏と、全面解禁に向けた法制度の議論に着手するよう求める河野氏のあいだで方向性は食い違っている。全面解禁に反対する公明党は30日に拙速な議論を容認しないと盛り込んだ提言を首相に提出した。

4月に条件付きで始まったライドシェアはタクシー会社にしか参入を認めていない。アプリ事業者などの参入も認める全面解禁には法改正や新法の制定といった法整備が必要になる。

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