25日、大阪府の四條畷市長が次の選挙に出馬しないことを明言しました。
そして同時に次期市長候補について、驚きのプランを発表しました。


■市長の後継者を求人サイトで「公募」

【四條畷市 東修平市長】「考え抜いた結果、このたび2期8年で市長を退任するという決断に至りました」

25日、記者会見を開いた四條畷市の東修平市長(35)。

12月の市長選には出馬しない意向を表明した上で、ある驚きの発表をしました。

【四條畷市 東修平市長】「幅広く募り、さまざまな個性のリーダーが手を挙げていただければ、このリーダーが四條畷にふさわしいんじゃないか。そんな議論が生まれ新たなリーダーが誕生する」

東市長は、自身が出馬しない代わりに、人材サービス大手「エン・ジャパン」の求人サイトで、次の市長選挙の候補者、つまり、自分の後継者を「公募」するというのです。

■市民は「期待ありつつ」と戸惑いの声も フレッシュな感覚で市の財政の健全化に取り組む東市長

東市長と言えば、外務省勤務を経て、2017年に当時全国最年少の28歳で市長に当選。

政治経験がないが故のフレッシュな感覚を生かして、スマホでの行政手続きを可能にしたほか、借金を減らし、その分、市の貯金にあたる基金を増やしたりするなど、財政の健全化に取り組みました。

また、「女性副市長」を民間サイトを通じて公募。

子育て世代の四條畷市への転入を増やすなど、常識にとらわれない政策を実行してきました。

民間の求人サイトで次期市長候補を「公募」するのはもちろん全国初。

その後は東市長が立ち上げた政治団体が候補者を選び、さらに政治活動のイロハを教えて候補者を「育成」し、きたる12月の選挙に送り出す、という仕組みです。

この大胆なアイデア、四條畷市民は…。

【四條畷市民】「自分の後継を求人サイトで?すごいね。楽しみ、興味を持って見てます」

【四條畷市民】「一般公募にもほどがあるんちゃうかな。そういうサイトで募集するって。政治ってある程度専門家がやらんといかん部分やと思ってるから」

【四條畷市民】「期待もありつつ、半分半分ですかね」

■転職先の一つとして「市長」 地方行政の担い手不足解消の一手となるか

いったいなぜなぜ自身の後継者を、転職サイトを利用して公募することにしたのか。

そこには市長ならではの、こんな強い思いが…。

【四條畷市 東修平市長】「私自身が8年前、出馬させていただいたとき、まだ社会人としては3年目。外務省と経営コンサルタント、1年ずつしかやってないので、経営者の経験あったのかと言われると、なかった。誰よりもこの町をよくしていきたい思いはあったという自負はある。“市長というのは長く経験を積んだ高齢の男性がやるものだ”ということ自体を変えていきたい思いもある」


政党の支援や多額の資金調達、そして地盤など当選どころか出馬すらハードルの高い日本の選挙。

市長選挙を戦うためには、およそ1000万円の費用がかかるとも言われています。

東市長は、そんな状況が地方行政の担い手不足につながっていると考えていて、今回のような取り組みをすることで、転職先の1つとして「市長」という仕事を選択できるようにしたいというのです。

【四條畷市 東修平市長】「私が知っている方、市民の皆さんの中で知りうる方から探すよりも、日本中にいるかもしれない、熱意と素質を持ったリーダーが市政運営をしていける未来。これを実現するために、『エン・ジャパン』の力添えで、全国に市長の後継候補を公募する」

■東市長と同じ考え方の人が選ばれるのでは…?「多様な市民の目も入れ合議で決める」と市長

とはいえ、東市長の全面バックアップで進む後継者選び。

要するに東市長と同じような考え方の人が選ばれるだけなのでは?と問うと…。

【四條畷市 東修平市長】「そういう懸念は、こういう取り組みは常に付きまとうものだと思っている。ですので、私一人が書類を見て選考してということになれば、その疑念は絶対に払拭できないので、なるべく多様な市民の目も入って、合議で決める。誰もがキャリアの一つとして、熱意ある人は市長という職になれる世の中の方が、僕はよりよい日本になると思うので。手を挙げやすい環境は重要なので、こういう条件設定にしてます」

(Q.必ず一人、「市長候補」を選出するのか?)
【四條畷市 東修平市長】「市政をより良くすることが目的。適任者がいなければ選出しない可能性もある」

■「東市長がサッと身を引ければ、全国のモデルケースに」とジャーナリストの鈴木さん

番組コメンテーターのジャーナリストの鈴木哲夫さんは「上手くいけば、地方政治の成り手不足解消につながるのでは」と話します。

【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「地方自治体は、首長も議員も、なり手が少ないんです。だから、このように『公募』というこれまでにない形…『転職先として市長』という発想は、非常に面白いと思います。公募というのは、とても良いと思います」

「ただ一方で、『東党』と言いますか、東さんの後継者を育て、東さんがいつまでも影響力を残すのではないか、そうなったら意味がないですよね。他の政党と同じになります」

「ですから、私は、結末まできっちり見届けたいです。今回、こうやって公募をする。誰かを選ぶ。そして当選する。そしたら、東市長はもう、『ここからはあなたの世界ですよ』とサッと身を引くことが重要だと思います」

「そういう風になったら、この公募という仕組みはすごく意味があると思います。なので、上手くいけば、全国でも、苦しんでいる地方の一つのパターンになると思います」

転職先としての「市長」という選択肢。

募集期間は、9月25日から10月15日までで、25歳以上の日本国民であれば、誰でも応募できます。

(関西テレビ「newsランナー」2024年9月25日放送)

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