27日に投開票された自民党総裁選で、奈良県選出の衆院議員、高市早苗経済安全保障担当相(63)は1回目の投票を1位で通過したが過半数に届かず、決選投票で石破茂元幹事長(67)に21票差で敗れた。総裁には届かなかったが、初めて決選投票に進み、県内の支援者からは「次こそは初の女性総裁に」などの声が上がった。【川畑岳志、望月靖祥】
午後2時ごろ、高市氏が最多181票を獲得し、石破氏に27票差をつけた1回目の投票結果がテレビ中継で読み上げられた。初の決選投票進出に、天理市のホテルに設けられた応援会場は「よし」「良かった」という声と歓声、拍手に包まれた。
平日にもかかわらず駆けつけた支援者ら約120人は「闘え‼早苗 日本のために」と英語で書かれたタオルを掲げて喜んだ。
決選投票前の高市氏の演説を涙を拭いながら見ていた大和郡山市の党員、笠見由紀子さん(75)は「ホッとした気持ちで涙が出た。演説でも思いやりの言葉が多く人柄が出ていた。何とか総裁になってほしい」と話した。
決選投票では石破氏に逆転されたが、秘書で地元事務所の木下剛志所長は「前回選からの3年間、本人が全国を回って講演する中で、後援会が一つずつ増え、支援が広がった結果、決選投票に進ませてもらった」と感謝し、「党員票で1位になったとはいえ、ぶっちぎる気構えだった(のに石破氏と1票差だった)ことを踏まえると課題は多い」と話した。
小・中・高校で同級生だった橿原市の女性(63)は「政策が明瞭で、確固とした国家観とリーダーシップを持っている。体を大切にし、日本のためにまだまだ力をつけて、次の総裁選に挑んでほしい」とエールを送った。
与野党での建設的な議論を望む声も
決選投票で敗れた高市氏に対し、市民はどう感じたのか。新リーダーの石破氏には何を求めるのか。高市氏の選挙区内の天理市でまちの声を聞いた。
20年以上、高市氏を友人とともに応援している天理市の元自営業男性(61)は総裁選の様子をインターネット中継で見守った。「決選投票まで進み、初の女性リーダー誕生にあと一歩まで近づいたのに非常に残念」と悔しがった。過去に数回、商店主らの会合で会ったことがあり「話しやすく、積極的に意見も述べてくれた。今回の2位は立派だが、次こそ総裁になれると信じている」と熱く話した。
3歳の長女を育てる同市の主婦(25)は、支持する政党はないが「誰にでも臆せず自分の意見が言える数少ない自民党議員の一人の高市さんに頑張ってほしかった」と話した。石破氏に対しては「中小企業で働く人の給与所得の改善や物価高対策など、庶民の厳しい現状に目を向け、子どもや若者が暮らしやすい社会をつくってほしい」と期待を述べた。
同市の主婦の女性(72)は「安定感や確実性は、高市さんよりも石破さんの方が上だと思う。今回の総裁選候補者の中では最もクリーンな印象で、裏金問題で落ちた党のイメージを回復できる人」と評価。奈良市の男子大学生(21)は「古いタイプの政治家が多い自民党では若いリーダーは潰されそうで、小泉進次郎さんが選ばれなくて良かった。石破さんは安定感が魅力。中国など世界に対して臆することなく、きっちり意見を述べてほしい」と要望した。
与野党での建設的な議論を望む意見もあった。奈良市の会社員男性(30)は「立憲民主党の代表に野田佳彦さんが選ばれた決め手は安定感だろう。同じく安定感があり同世代の石破さんには、論戦で逃げずに正面から向き合い、党派の垣根を越えて国を良くしてほしい」と求めた。【山口起儀】
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