手取りが増えるかもしれない「年収103万円の壁」。国の財政をつかさどる財務省の本音を聞いてみました。
年収が103万円を超えると所得税が課税され始める、いわゆる「103万円の壁」。
与党側に見直しを迫る国民民主党は103万円から178万円に引き上げたいとしていて、実現すれば年収200万円の場合8万6000円、年収500万円の場合13万2000円が減税となり、手取りが増えるとのこと。
その一方で、国と地方で合わせて7兆円から8兆円の税収が減ると試算されています。
国民民主党(財務省出身) 玉木代表
「私も財務省にいたので財源のことを心配するのは、よく分かります。例えば7兆円を減税したら7兆円が国民の懐に行くわけですよね。当然、消費も企業活動も活発になって法人税収も増えるし、消費税収も増えるので、そういったところをトータルに見て考えていかないと」
国民民主党は年末に閣議決定される2025年度税制改正大綱への反映を目指していますが…。
■“103万円の壁”見直し 実現はいつ?
経済部(財務省担当) 佐藤美妃記者
「103万円を見直すこと自体はできない話ではありません。ただ、税の制度の根本に関わる話であり、財務省としては『時間が足りず、年内には困難だ』というスタンスです。そうなると、最も早くて『来年、議論して2026年4月から』となりますが、政治の状況を考えると、それも難しいとみていて、『では、どうするか』を今まさに検討している状況です。もう一つ、財源の問題もあります。玉木代表は税収で賄うとしていますが、7、8兆円を捻出するには、かなりの経済成長が必要で、実際は減税しても貯蓄にまわるお金が相当程度あることなども考えると、税収増で賄うというのは現実的ではありません。来年、参院選があるなかで、国民の負担を増やす増税や国民へのサービスを減らすことになる歳出減も打ち出しにくい状況です。となると、最も可能性が高いのは『国債』です。ただ、これは恒久的な減税なので毎年、国債を出して将来世代に負担の先送りをし続けることに理解が得られるのかは疑問です」
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