明治期の旧門司駅の遺構が残る場所で始まった福岡県北九州市の造成工事に対して、ユネスコの諮問機関イコモスの国内委員会が、即時停止を求める声明を出しました。

20日に北九州市役所を訪れた日本イコモスの溝口副委員長は、市の担当局長に委員長名の声明文を手渡しました。

問題となっているのは、門司区の老朽化した区役所などを集約する複合公共施設の建設予定地で見つかった明治期の初代門司駅の関連遺構です。

イコモスは世界遺産の構成要素になりうる貴重な文化財だとして現地保存を求めていますが、市は市民の安全安心が最優先として11月15日、造成工事に着手しました。

日本イコモスは「歴史を正しく理解し、文化財に接するための憲法で保障された文化権の侵害だ」と強く抗議し、遺構の解体につながる工事の即時中止を求めました。

◆日本イコモス 溝口孝司副委員長
「遺構というものが根を切られる。その場から切られたものというのは、文化財、ヘリテージとしての意味はないということ。残していただければ現地において、例え小面積でも絶大な意味があると思う」

市は声明の内容を組織で共有すると回答しましたが、溝口副委員長は少なくとも幅5メートル、長さ15メートルの範囲を現地に残せば遺構の価値は維持できるとして、専門家を交えた公式な協議を求めています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。