大阪維新の会の吉村洋文代表は、19日、いわゆる大阪都構想について、「もう1度、維新の皆さんと案を考えたい」と述べ、3度目の挑戦に意欲を示しました。

■大阪維新の会の代表選挙「大阪都構想」を口にする吉村代表が圧勝

【大阪維新の会・吉村洋文代表】「私は大阪特区制度、大阪都構想の案について、もう1度、大阪維新の会の皆さんと一緒に考えたい」

19日、行われた大阪維新の会の代表選挙。

再選を目指して立候補した、吉村洋文・大阪府知事が熱を込めて語ったのは、あの「大阪都構想」への意欲でした。

【大阪維新の会 吉村洋文代表】「『大阪都構想なんて終わった話だよ、全く考える必要もないよ』という方は、僕に投票しないという選択を取っていただいて構わない」

結果は吉村代表の圧勝。

今後、半年から1年をかけて、維新としての都構想の制度案を、ゼロベースで検討していくと表明しました。

■維新の看板政策「大阪都構想」 2度の敗北で「僕自身が、都構想に挑戦することはない」と何度も発言

大阪市を廃止して複数の特別区に再編する、「大阪都構想」。

維新の看板政策として挑んできましたが、2015年の住民投票で否決され、当時の橋下徹大阪市長が政界を引退。

【大阪維新の会代表 橋下徹市長(当時)】「最後、この結果というのは本当に悔いなし。リベンジとかは何もないです」

松井一郎大阪市長とのタッグで挑んだ、2020年の2度目の住民投票でも否決され、松井市長が政界を引退しました。

2度の敗北を受け吉村代表も…。

【大阪維新の会 吉村洋文代表代行(当時)】「僕自身が大阪都構想に政治家として挑戦することは、もうありません。もうやり切ったという思いです」

その後も「僕自身が、都構想に挑戦することはない」と何度も再挑戦を否定してきました。

【大阪維新の会 吉村洋文代表(2022年1月)】「都構想の3回目の住民投票にチャレンジすることはない」

【大阪維新の会 吉村洋文代表(2022年12月)】「大阪維新の会とすれば、大阪都構想を掲げ続けるべきだと思ってる。だけど僕がやることではない」

20日、こうした過去の発言と矛盾していないか、問われると…。

【大阪維新の会 吉村洋文代表】「当然、それ(3度目の挑戦)をするのであれば、民主的なプロセスが必要だと思ってますし、現時点で3度目の挑戦をすると宣言したものではない。だから、前回の話と変わっているところはない」

「ただちに3度目の住民投票を行う」と宣言したわけではないと釈明した上で、何らかの「民主的プロセス」で民意が得られれば、将来的に住民投票に踏み切る可能性を示しました。

また大阪維新の会の横山英幸代表代行は20日、「あくまで党内の話だ」とした上で、次のように述べました。

【大阪維新の会 横山英幸代表代行】「新たなビジョンを掲げた方が党の代表になったので、それに基づいて党が動くのは自然な手続き。大阪府知事・市長として動いているわけではない」

また都構想の発起人である、この人は…。

【維新の創設者 橋下徹さん】「政治は1回駄目になったことで、終わりというわけではない。何度もチャレンジするのが政治。政治は状況によって、必要になれば、否決されても挑戦するのが政治なので、しっかり議論を踏まえて進めていってほしい」

■都構想で協力の公明党「3回目は難しい」 「市民を切る改革」と批判の声

一方、2度目の住民投票には、賛成の立場で臨んだ公明党は…。

【公明党大阪府議団 肥後洋一朗幹事長】「3回目は非常に難しいと思いますね。2回目の時にこれが最後ということで、私たちも臨みましたし」

都構想で協力したにも関わらず、10月の衆院選では一転、維新に対抗馬を立てられ、大阪で全敗した公明党。

維新との対決姿勢を強める中で、別の市議からは、こんな声も…

【公明党の大阪市議】「万博も来年終わるし、維新は何か看板がないともたないのでは?そのために大阪市を利用しようとしている。身を切る改革というくせに、またお金と労力のかかる3度目の都構想をやるなんて、市民を切る改革や」

■「2回ペケって言ってる」「同じなら反対」街の人は3度目の都構想に何を思う

3度目の都構想に意欲をしめした吉村さんですが、街の人はどう思っているのでしょうか?

【大阪市民】「もってのほかちゃう?」
(Q.反対ですか?)「民意が2回ペケって言っている。それをあえて何のために」

【吹田市民】「新しい取り組みをしていること自体がいいこと。ぜひ進めてもらいたい」

【吹田市民】「(住民投票の費用は)大きなお金を使うことになるけど、もう1回やって、いい未来を作るお金に変えていってほしい」

【大阪市民】「同じだったら正直、いま不自由はないので、また反対かな。ただ新たに色々出してきて、納得がいって、あなたに任せるとなったら賛成する」

3度目の正直にむけて動き出した大阪都構想。

市民の理解を得ることはできるのでしょうか。

■すでに3回目の都構想への挑戦を明らかにしていた?

街の皆さん、さまざまな声がありました。過去、2度否決されている住民投票ですが、その状況で、吉村さんは「大阪都構想」3度目の挑戦に意欲を示しているという状況です。

実は2023年4月9日には関西テレビの放送で、吉村さんはすでに3度目への挑戦を明らかにしています。

【大阪維新の会 吉村洋文代表】「この(大阪都構想)思いについては、大阪維新の会として変わることはない。
すぐやるわけではないか、大阪府・政令市と都道府県問題は全国の問題。そこを大阪都構想で突破していくのは本来の在り方だと思っている」

【ジャーナリスト 鈴木哲夫さん】「2023年の統一地方選挙の番組配信の時、結構突っ込んだんですよ。そうしたら都構想は、ある意味では、維新の看板だと。大阪だけの問題じゃなくて、日本の自治の仕組みを変えるきっかけにしたいってことなんですよ」

「大阪と同じように二重行政、例えば横浜市と神奈川県とか、福岡市と福岡県など、いっぱいある。『日本の自治の仕組みを変えるんだ』という大きな看板。これは自分としては思いがあるって言ったんですよ。だからそういう思いがずっとあった」

「それから今度、維新の国政の代表選挙もあります。維新を立て直すために、やっぱり看板が何かほしい。その時に、要するに『無駄をなくす、無駄をなくす』だけじゃなくて、日本全体の地方自治の仕組みを変えるんだと。その先には道州制とかも掲げても良いと思う」

「そういうもので多分、動きだしたんだろうって。これは僕のヨミですね。ただそれを府民がどう判断するというのはまた別です」

一方でかなりの接戦とはいえ、過去に2度否決された都構想をもう一度というのは、理解を得るハードルもあがりそうです。

【関西テレビ 加藤さゆり報道デスク】「2回ともかなりの僅差で反対に決まったわけですけれども、経費も10億円ぐらい投票にかかっています。なので、そういうことももう少し加味しながら、議論を進めてほしいと思います」

ゼロベースで検討して行くということですが、今後の動きに注目したいと思います。

(関西テレビ「newsランナー」2024年11月20日放送)

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