台風10号の接近に伴い、すでに気象庁などが発表する大雨警報などの防災気象情報と市町村が出す避難指示などの避難情報が出されていますが、これらは5段階の「警戒レベル」に分けられ、住民がとるべき行動などがまとめられています。

自治体が出す避難情報でレベル3にあたるのが「高齢者等避難」です。


「高齢者等避難」は、高齢者や身体の不自由な人など避難に時間がかかる人は避難を始めます。
そのほかの人も、避難の準備を進めたり、自ら避難の判断をしたりしてください。

続いて、レベル4は、「避難指示」の情報です。
危険な場所にいる人は高齢者などに限らず、全員、避難してください。


これは、「まだ、レベル5があるから大丈夫」だと思う人もいるかもしれませんが、それは危険ということです。
身の危険が迫る前のレベル4の段階までに避難を終えるのがポイントです。

また、気象庁が発表する情報では「土砂災害警戒情報」などがレベル4に相当します。

そして、最も深刻なレベル5は、「緊急安全確保」です。


すでに災害が発生しているか、発生している可能性が極めて高い状態です。
宮崎県内でも過去に「緊急安全確保」が出たことがあります。

県内でも実際に緊急安全確保が発令された地域では、土砂崩れの発生や家屋の浸水被害がありました。

去年8月、台風6号の影響で緊急安全確保が発令された日之影町では、国道で土砂崩れが発生し、崩れた土砂が向かいにある民家の敷地まで押し寄せました。

また、2021年7月に緊急安全確保が発令されたえびの市では、住宅の浸水被害が確認されました。

このように「レベル5」になると、避難場所への移動は手遅れになっているおそれがあります。

まだ避難していない方、危険な場所にいる方は、ただちに命を守るための最善の行動をとる必要があります。


例えば、自宅や、鉄筋コンクリートでできた背が高く、大きくて頑丈そうな建物の少しでも高い場所に移動することや、近くに崖がある場合は、建物の中の、崖からできるだけ離れた高い場所に移動します。

また、少しでも浸水しにくそうな高い場所、少しでも土砂が流れ込みにくそうな場所に、大至急、身を寄せます。

レベル5を待たずレベル4の段階までに避難を終えることが大事ですが、避難というのは小中学校や公民館に行くことだけではありません。


(1)行政が指定した避難所へ行く 以外にも、
(2)安全な親戚や知人の家へ行く
(3)安全なホテルや旅館へ行く
(4)「家屋倒壊等氾濫想定区域に入っていない」「浸水深より居室が高い」「水や食料の備えが十分」という3つの条件が確認できれば、自宅にとどまり、安全を確保することも可能です。

県内では今月、震度6弱を観測する地震がありましたが、再び地震が起こるリスクも忘れてはいけません。

MRTニュースでも「日向灘に割れ残りの領域があり、今後もマグニチュード7程度の地震が発生する可能性が高い」とお伝えしましたが、台風が襲っている最中に、大きな地震が発生する可能性もあります。

京都大学防災研究所宮崎観測所の山下裕亮助教によりますと、ちょうど255年前、1769年8月29日に発生した日向灘地震は、地震と暴風雨が重なった複合災害だったと言われているそうです。

このため、山下助教は「台風が接近している状況で津波警報などが出た場合の対応についても事前に考えてほしい。特に沿岸部にお住いの方で不安な方は、津波からの事前避難も検討したほうがよい」と呼びかけています。


警戒レベルへの理解を深めるとともに、どう行動するのか考えておくことが大事です。

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