発生から1週間になる台湾の東部沖の地震では、新たに3人が遺体で見つかり、これまでに16人の死亡が確認されたほか、いまも3人と連絡が取れなくなっていて、捜索活動が続いています。

蔡英文総統は10日午後、震源に近い花蓮県を訪れ、集中的に捜索を行っている景勝地の太魯閣渓谷の近くに設けられた救助隊の拠点で、担当者から捜索や復旧の状況について報告を受けました。

蔡総統は、災害対応にあたる職員らを激励したうえで「力をあわせて生活支援など被災した人たちの要求に応えていく」と述べ、生活の再建を急ぎたい考えを示しました。

一方、花蓮県によりますと、地震で1400世帯以上の住宅が被害を受けたということで、台湾当局は被災した人たちの住まいを確保したり、見舞い金などの申請を行う窓口を設けたりするなど、支援を行っています。

ただ、落石や土砂崩れが相次いだ太魯閣渓谷では道路の復旧のめどが立っていないことから、観光業への影響が懸念されていて、被災した人たちの生活の再建が課題となっています。

自宅が被害受けた住民は

地元当局によりますと、震源に近い花蓮県では今回の地震で、1400世帯以上の住宅が被害を受けたということです。

このうち花蓮市中心部のおよそ150世帯が入居するマンションでは、柱や壁に亀裂が入るなどの被害が出ていて今は立ち入りが制限されています。

地震が発生した際に住民が撮影した映像では、マンションの柱が大きく揺れていたり、物が上から落ちてきたりする様子が記録されていました。

このマンションの住民の黄展宏さん(42)は今、当局の手配したホテルで家族4人で寝泊まりしています。

黄さんは、マンションの住民で作る管理組織のメンバーも務めていて、9日はほかのメンバーとともに、地元当局の窓口を訪れて見舞い金を受け取る手続きを行うなど対応に追われていました。

黄さんは当面はホテルでの生活を続けるということですが、マンションを解体せずに修繕して住むことができるのか、ほかの住宅を探さなければならないのか今後の見通しがたっていません。

黄さんは「当局の支援に助けられています。ただ、この先どうなるのかわからず不安です」と話していました。

専門家「民間との協力 日本も学ぶべきことある」

世界各地で地震などの被災状況を調査している防災システム研究所の山村武彦所長は震源近くの花蓮県を訪れ、被害を受けた建物などを視察しました。

山村所長は今回の地震について「耐震強度が低くバランスの悪い建物に被害が集中していて、中低層の建物はほとんど被害を受けていない」と述べ、被害を受けた建物は限定的だという認識を示しました。

また、被災した人たちへの台湾当局の対応について、支援に必要となるものをすぐに提供できる民間団体などと事前に連携し、避難所を迅速に開設していたと指摘しました。

山村所長は「日本でも自治体だけでは準備などが十分に追いつかない面もあると思います。すぐに動ける民間との協力は日本も学ぶべきことがあるのではないか」と話していました。

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