衆院憲法審査会は11日、今国会で初めて自由討議を行った。自民党は緊急事態時の国会議員任期延長を巡り、憲法改正の条文案の起草作業を行う「起草委員会」の設置を提案。立憲民主党や共産党は、自民派閥の政治資金裏金事件の全容解明を優先すべきだと主張した。
岸田文雄首相(自民党総裁)は総裁任期中の憲法改正を掲げており、条文案の具体化を進める考えを示している。自民の中谷元氏はこの日の憲法審で「緊急時の国会機能維持についてはいつでも条文起草作業に入っていけるところまで議論は進んでいる」と指摘。「幅広い会派間で憲法改正原案作成の協議を行う環境を早期に整備することを提案する」と述べ、「反対の場合でもぜひ協議のテーブルについていただきたい」と呼びかけた。
これに対し、立憲の逢坂誠二氏は首相の改憲姿勢に触れ、「憲法を変えること自体が目的化している。極めて危うい」と批判。「裏金問題の解決もできず、自浄作用のない自民党が、憲法改正を論ずることに正当性があるのか。一刻も早く裏金問題にけりをつけてほしい」と訴えた。共産の赤嶺政賢氏も「今、国会が果たすべき使命は、関係者を証人喚問し、真相解明することだ。改憲のための議論を進めることではない」と同調した。
憲法改正の国民投票を実施する場合、国会発議から投票までの期間は最低60日と定められている。国民民主党の玉木雄一郎氏は、6月23日の会期末までに残された衆院憲法審の定例日の回数に触れ、「(首相が)今の任期中に憲法改正を目指すのであれば、今国会あと10回の審査会しかない。正直、絶望的だ」と述べた。【高橋祐貴】
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