10月1日、石破茂氏が第102代内閣総理大臣に指名され、新内閣が発足した。党幹部・閣僚人事に見る石破氏の思惑とは。波乱含みの真相を政治ジャーナリストの青山和弘氏が解説した。
石破氏は総裁選で争った高市早苗氏には総務会長を、小林鷹之氏には広報本部長をオファーしたがともに辞退。これに青山氏は「石破政権を最初から泥舟だと見ていて距離を置きたいのだと思う」と推察する。そんな中、麻生太郎氏には名誉職の意味合いが強い最高顧問を充てた。記者会見では自らの内閣を「『納得と共感内閣』という風に考えている」と語った。
石破内閣について青山氏は「石破氏は非主流派が長かったので、人脈があまりない。官房長官は非常に重要で、内閣の要であり女房役とも言われる。記者会見もして、体を張って総理大臣を守る。そして霞が関に睨みを利かせる、危機管理もやらなければいけない。そんな人を岸田(文雄)氏が総理大臣のときの官房長官(林芳正氏)を続投させるという、簡単に言うと“借り物”。林氏の能力が高いのはわかる。岸田氏に決選投票でお世話になったこともあるとは思うが、他にいないのかと…」と分析。
さらに「財務大臣(加藤勝信氏)は、決戦投票で高市氏に入れている。ただ、財務官僚出身で安定している。こういう肝心なところを借りてこないといけないことがわかった。外務大臣は岩屋(毅)氏、防衛大臣も中谷(元)氏がもう一度なる。つまり知り合いは国防族だけで、ほかはほとんどが推薦人ばかり。これまで非主流派だった人たちの在庫を一掃したような形」としつつ「若手でこの人は面白いという抜擢もない。これまで日陰に甘んじてきた人を一気に持ってきた」と印象を語った。
「唯一、城内(実)氏は、高市氏が総務会長を断るときに『私の代わりに陣営から仲間を入れてあげてくれ』と言って、そのときに名前が挙がったそう。実は(城内氏が)高市陣営でいろいろな工作、議員票を増やすといったことに尽力した人なので名前が挙げられた」(青山氏)
また、城内氏は旧森山派だとして「森山(裕)氏は幹事長なので、断ることができない。石破氏に協力しようとしている親分に背いたことになってしまうから。そういった背景もあり、城内氏が高市陣営からは唯一入閣した」と語った。
総務大臣に就任した村上誠一郎氏については「これまで石破氏を支えてきた、何度も推薦人になってきた人。ただ、安倍(晋三)氏のことを“国賊”と呼んだ。対立してきたのはわかるが、7年8カ月に及んだ第2次以降の安倍政権で、総理大臣を務めてきた人に対して、国賊という罵り方は常軌を逸している。そうして党員資格停止になった」と説明しつつ「そんな村上氏を入閣させることは、旧安倍派からすれば『喧嘩を売っているのか』となる。そういったこともどこまで考えていたのかよくわからない」と疑問を呈した。
今回の内閣発足に際して「一番相談をしたのは森山氏」だとして「党側も重鎮、実力者に頼るしかない。(森山氏や菅義偉氏に)解散をしろと言われて、解散せざるを得ない状況になった。これまでは予算委員会に時間をかけて論戦をして、国民に材料を提供し、それで解散すると言っていたのに、森山氏らに言われてひっくり返ってしまった」と説明した。
「高市氏や小林氏は断ったから仕方がないとして、河野(太郎)氏や上川(陽子)氏も起用したら良かったのではないかと思う。もう少しバランスや、バラエティー、若手の登用をしても良かった。石破氏の人脈のなさが露呈して、偏った内閣になってしまった印象」(青山氏)
(『ABEMA的ニュースショー』より)
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